こころの豊かさを考えるとき、人に何をしてあげられるかには目が向いても、差し出された親切をどう受け取るかは後回しになりがちです。頼ることが苦手なら、いきなり大きな相談をする必要はありません。小さな手助けを受け取り、その後に自分が何を感じるか。そこから人との関わりを見直せます。
親切の前で、急に忙しくなる心
荷物を持ってもらう。家事を一つ代わってもらう。話を最後まで聞いてもらう。どれもうれしいはずなのに、何かお返しをしなくてはと、落ち着かなくなることがあります。
相手が費やした時間を数え、自分の頼み方が悪くなかったかを振り返り、次に会うまでに埋め合わせを考える。助けてもらった後のほうが、気持ちの上では忙しい。これでは親切を受け取ることにも、かなりの体力が要ります。
もちろん、相手への配慮は大切です。ただ、その配慮の中に、借りがある自分でいたくないという気持ちが混ざっていないでしょうか。人に迷惑をかけず、いつも役に立つ側でいたい。そう願うほど、助けてもらう自分を扱いにくくなるのかもしれません。
与える側だけで、関係を決めない
人に何かを渡すときは、毎回同じだけ返してほしいとは限りません。余分に作ったから分けたい、今は手が空いているから手伝いたい。そんな気軽な親切もあります。
それなのに、受け取る番になると厳密な貸し借りにしてしまう。自分が与えるときの気持ちは自由なのに、相手の親切には義務を感じてしまうのです。相手も、自分と同じように、したくてしている可能性があります。
すぐに返すことだけを考えると、相手の気持ちを聞く余地がなくなります。何を望んでいるか分からなければ、確かめていい。言われていない条件まで自分で足して、疲れる必要はないと思います。
こころの豊かさには、持っているものを分ける喜びだけでなく、差し出されたものを味わう余裕も含まれるのではないでしょうか。受け取った後の短い会話や、一緒に過ごした時間にも目を向けたいものです。
頼ることと、相手任せにすること
頼るのが苦手な人にとって、お願いを口にすることと、責任を放り出すことは近く感じられるかもしれません。けれど、手伝ってほしい部分を伝えることも、自分でできる行動の一つです。
夕食の片付けを代わってほしい。十分だけ話を聞いてほしい。分からない手順を一度見せてほしい。頼む内容が具体的なら、相手も引き受けられるかを考えやすくなります。何も言わずに気づいてもらうのを待つより、お互いの都合が見えます。
断られる余地も残しておきましょう。今日できないという返事は、今日の事情を表している場合があります。そこで相手の気持ちを決めつけず、別の方法を考える。お願いした後も、自分の選択は続いています。
何でも一人で済ませる姿だけが、自立なのだろうか。助けが必要な箇所を知り、言葉にし、相手の返事を受けて動く。そういう自立のあり方も、大事にしていいはずです。
癒しの時間まで、お返しを急がない
レイキヒーリングの時間にも、相手の期待に応えようと気を配りすぎることがあるかもしれません。何かよい感想を伝えなければ、喜んでもらわなければと考えると、自分の感じ方が後ろへ回ってしまいます。
感想を聞かれたら、そのとき分かる範囲で伝える。静かに過ごせたなら、そのことを。特に変化が分からないなら、分からないままを伝える。立派な感想を用意することを、お返しにしなくていいのです。
スピリチュアルを暮らしで考えるなら、こうした人とのやり取りにも目を向けたいと思います。特別な感覚を語る前に、今の自分の気持ちを隠さずにいられるか。相手を大切にすることと、自分の実感を曲げないことを、同じ場で試していけます。
今日は一つ、受け取ってみる
次に誰かが手を貸してくれたら、すぐに埋め合わせの約束をする前に、何が助かったかを伝えてみてください。片付けが早く終わった、考えを話せた、分からなかったことが分かった。具体的な言葉なら、相手にも届きやすくなります。
受け取った直後に、心から喜べなくても構いません。慣れない頼み方をした日は、ほっとする気持ちと気まずさが一緒に残ることもあります。その場で自分の性格を結論づけず、帰ってから何が楽になったかを振り返る。お返しについては、落ち着いてから考えても遅くありません。感謝の言葉も、自分が実際に助かった部分から選んでみると、無理が少なくなります。
ただし、望まない親切まで引き受ける必要はありません。後から見返りを強く求められるなら、その条件には改めて返事をしていい。受け取るものを選べることも、人との関係を続けるうえで大切です。
誰かのために動くことは、これからもできるでしょう。今日はその前に、自分に向けられた親切を一つ、急いで返さずに受け取ってみる。助かったという実感を、少しの間そこに置いておく。人と関わる喜びを、自分にも味わわせてあげてください。
